PLUS2制作秘話
2019/04/28
販売謎、PLUS2についての制作秘話です。
ネタバレについては確信的な内容は書きませんが、どういうことをするかはほぼ分かるためクリア後に読むことを強くオススメします。
※PLUS1(便宜上1としておきます)についても少しだけ触れます。ご注意ください。
ということで隠しておきます。
この謎は、PLUS1を作っている最中に思いついた形が骨子となっています。
「STEP3に入る頃にできている状態」ですね。
PLUS1は非常にシンプルにプラスの形のみで構成している謎なので、ラストもあれ以上要素を加えると蛇足となるため別の作品として作ることにしました。
そのため当初はPLUS1のように大きなプラスの紙と小さいプラスを複数枚使い、それぞれをパーツとして仕上げる想定でした。
ある程度考えを進めたところ、大きな紙だけでできるのではないか?という結論にいたり、試行錯誤が始まりました。
作者ハイイは考えをまとめる際、iPad Pro+Apple Pencilでのデジタル手書きを使用していますが、今回の謎の仕組みを成立させるために必要な条件が複雑だったため、以下の要素に分解して考えました。
・STEP2で行う作業の構造について
・STEP1とSTEP3の文字パズルについて
・大きな紙の色の線について
ネタバレにならない様に書くとなんのこっちゃですねw
そのため、ここからはもうちょっとネタバレ要素を強くしますので未プレイの方はご注意ください。
これは「展開図としてどう成り立たせるか」ということになります。
展開図を作るための都合のいい環境がわからなかったため、ブロック系の磁石おもちゃを購入しました。
が、最終構造は安定性にかける上、その状態を作ったとしても展開図考案にはあまり役に立ちませんでした。
3DCGやペーパークラフト系のソフトなども考えましたが、とくに習得しているわけでもなく、思い切ってiPadにメモしながら頭の中で作ってみたら案外サクッとできました。
いざテストプレイしたら1マスだけ間違えましたがあっさり完成。結局、結果的にほぼ想像だけでできてしまいました。制作秘話なのかこれ。
ちなみに、全ての辺で別の構造で組み上げることにはこだわりました。他のパズルも作りづらくなりそうだったのと、いかにも展開図になってしまうためです。
しかし、ここで大きな問題が発生しました。
物理的な構造としてはできたのですが、当初はミシン目がなくハサミで切り込みを入れて作っていました。
試作品は普通のコピー用紙で印刷したということもあり、紙も薄く一通りの作業を終えるころには紙が全体的にふにゃふにゃになってしまいました。
手順を全て知っている作者ですらふにゃふにゃになるのなら、試行錯誤しながら組み上げていくユーザー様にとっては、もうラス謎どころではないものになりそうです。
細かいハサミの入れ方も必要になるのもスマートではなく、この点の解決策が浮かぶまで保留にしました。
そんな中、ホームセンターで偶然見つけたのがスライドカッターでミシン目を付けられる製品でした。しかも1500円くらいとお安い。
ミシン目という発想を得て、ローラー状のカッターでミシン目を付けられる道具もあることを知り、この2種類を試した結果今回の謎が成立したことになります。
製品版の印刷時に固めの上質紙を使うことで、かなり組み立てやすいものとなったのでした。
PLUS1と同じく、各辺が3x3になっている大きなプラスの紙をベースとしたため、45マスとなります。
「最初は45マスの平面で、最後にあの形になる」という構造を採用したため、最初と最後に謎を追加して成立させることになりました。
45といえば、日本語は五十音とは言いつつ46となります。数字が近いものに都道府県の47もありますが、どう考えても日本語1文字づつのほうが良さそうです。
ということで、「同じ文字が入らず、濁点・半濁点が無いパズル」というのを決めました。1文字だけ弾く文字が必要ですが、まあここは「を」に退場いただきましょう。使いづらいし。
さて、この文字パズルだけなら別に難しくはないのですが、ラストの形になった際に意味がある配置にしないとバラバラの謎になってしまいます。
組み上がった段階で特定の部分だけ読んでラストワード、という想定でしたが、あれだけの作業の後それではあっさりしすぎに感じたため、ラス謎も同時に考える必要がでました。
1から通してプラスの形にこだわってきた作品ですので、ラストもプラスという形を使いたく、「特定のマークのところを読む」とか「一周回して読む」というような類はボツにしつつ思いついたのが現在のSTEP3の謎なのですが、ここで大変なのは文字構成との兼ね合い。
STEP1の条件から「同じ文字が2回使えない」「濁点・半濁点・伸ばし棒の文字は使えない」「複数の当てはめ方がある単語は使えない」という制約が自動的についてしまいます。
STEP2で切り離されるマス以外の文字で全ての単語を成り立たせるのはかなり困難でした。また、「頂点のマス」も含めての単語にしようとしていたため、これを全て成立させる単語を6種類思いつくのは不可能でした。
ここで幻の立方体という概念を作り出したことで、一つあたりが平面のプラスでできる上に、推測させる1文字だけはSTEP1の条件から外れる=文字が被っても濁点半濁点を使っても良いという解放を得ました。
最後に使う脳が立体把握+想像ということになり、ここは得意不得意が強くでるため、ここでのラストワードの出し方はシンプルに抑えました。
最初に広げた時に見えるカラフルなマス目の色。
その割にSTEP1ではほとんど使われることはなく、せいぜい位置の特定だったかと思います。
しかし、ここで重要なのは「色だけで場所がわかるようにできていること」を提示することでした。
STEP2で大掛かりに使う以上、線の色は場所を特定する意味があることを認識させたかったのです。
しかしここで、このような過程で制作したのなら生まれる疑問があります。
「4方が同じ組み合わせのマスが存在しないのか?」という点です。
4つの線が全て同じ色のマスがあってしまうと、色のマス目だけで文字を導き出せる今回の謎が成り立ちません。
しかし、線の色分けは展開図のために作られたもの。色がかぶらないようになっているかはあとから調べる必要がありました。
これをどう解決したのかに関しては、いわゆる「エクセル方眼紙」を使いました。
線部分を1~5の色に割り当てて、マスは「上の線を千の位、左の線を百の位、右の線を十の位、下の線を一の位」で表示する関数をいれ、範囲内に同じ数字があったら色がつくように条件を整えました。
この画像の前に同じことをやり周りの線を黒一色から黒と灰色に変更してかぶりマスを減らしていますが、まだ2セット残っていることがわかりました。
このかぶりを解消することと、全体的に赤が多すぎる印象を減らす意味も含め、二つの意味で一部を黄色線にしたのでした。
思った以上にぶちまけてしまいましたが、PLUS2制作秘話でした。